BGM動画に雨の音を重ねようとして、2回つまずきました。1回目は素材の音が小さすぎて、 大きくしたら「雑な音」になって没。2回目は音を下げすぎて、花火の音がまったく聞こえませんでした。 原因はどちらも同じです。耳で選んで、数字で確かめていなかったこと。 この記事では、フリーの環境音素材を使うときに測るべき2つのことを、失敗の実録として書きます。
つまずき1:無料の雨音は、音が小さすぎた
最初に選んだのは、YouTubeのオーディオライブラリにある雨音でした。 商用利用できて、クレジット表記もいらない。条件は文句なしです。 ところが再生してみると、ずいぶん小さく聞こえます。気のせいかと思い、音量を測ってみました。
結果は平均マイナス52〜55dB(デシベル)。音量の数字は0が上限で、 マイナスが大きいほど小さい音です。私たちが作っている曲はマイナス17dB前後。 つまり雨音は、曲より35dBも小さい状態でした。ほとんど聞こえないと言っていい水準です。
そこで30dBほど持ち上げてみました。これが失敗です。 音を大きくすると、雨だけでなく録音に混じった「サー」というノイズも一緒に大きくなります。 試聴した感想は「雑な音」。作り直しになりました。
素材は、聞く前に音量を測る
ここで決めたルールが1つあります。環境音の素材は、使うと決める前に平均音量を測ること。 目安はマイナス35dBより大きいかどうかです。これより小さい素材は、 どれだけ良い音に聞こえても後で必ずノイズに悩まされます。
測定はffmpegという無料ソフトの音量測定機能を使いました。 難しく聞こえますが、やっていることは「この音声ファイルの平均は何dBですか」と質問するだけです。 素材1本につき数秒で答えが返ってきます。
差し替え先に選んだのは、効果音ラボの「雨が降る1」でした。 こちらも商用利用可・クレジット不要で、30秒の素材で平均マイナス27.5dB。 持ち上げる必要がないので、ノイズも増えません。 30秒しかない素材は、つなぎ目が目立たないように重ねながらループさせて1時間分にしました。
つまずき2:下げ幅は「音の高さ」で決まる
雨音の音量は、3パターン作って聴き比べて決めました。採用したのは 「曲より15dBほど下」のひかえめな設定です。うるさくならず、雨だとはっきりわかる。 いい落としどころが見つかったと思っていました。
問題は、次の動画でこの数字をそのまま流用したことです。 テーマは夏の夜の花火。冒頭1分だけ花火の音を入れる構成にして、同じく15dB下でミックスしました。 試聴した第一声は「まったく聞こえない」。測ってみると、花火を足す前と足した後で音量差は0.3dB。 数字の上でも、ほぼ何も乗っていませんでした。
理由は音の高さです。花火や雷、波の音は低い音。曲のベースやドラムと同じ場所で重なるので、 押し負けて消えてしまいます。反対に、鳥や虫の声は高い音です。 曲とぶつかる場所が違うので、15dB下げてもちゃんと抜けてきます。音量の下げ幅は、曲との差ではなく、音の高さで決める。これが結論でした。
花火は5パターン作り直し、最終的に曲と同じ音量まで戻して決着しました。 数字だけ見ると「曲と同じ大きさの花火音」は大きすぎるように思えます。 実際に聴くと、ちょうど遠くの花火が届くくらいの自然な音でした。
環境音を足すときの3つの手順
2回の失敗から、今は次の順番で作業しています。
- 素材の平均音量を測る(マイナス35dBより小さい素材は使わない)
- 高い音(鳥・虫)は曲より10〜15dB下、低い音(雨の一部・花火・波)は曲と同等から数dB下に置く
- 混ぜた後に必ず通しで聴く。数字が合っていても、耳が違和感を持ったら数字のほうを疑う
フリー素材は「無料で商用OK」という条件だけで選びがちです。 その先に、音量という落とし穴がありました。雨の音1つで作り直しになりましたが、 測る習慣がついたおかげで、今は素材選びが早くなっています。 AIで作った曲を動画にするまでの流れは、Sunoで6曲作ってYouTubeに公開した実録に書きました。